| 裁判所が文書提出命令 (全文掲載) |
--------- 主 文 --------------
1 甲事件
(1)被告組合は、別紙第2記載の文書を、本件決定送達の日から2週間以内に当裁判所に、提出せよ。
(2)原告らのその余の申立てを却下する。
2 乙事件
(1)被告知事は、別紙第4記載の文書を、本件決定送達の日から2週間以内に当裁判所に、提出せよ。
(2)原告らのその余の申立てを却下する。 |
--------- 理 由 -------------
第1本案事件の概要
1、本案事件は、奈良県が被告組合に対し行った貸付金につき、奈良県の住民である原告らが、
@被告知事及び同部長が債権の管理(履行請求及び債権保全措置)を怠っていることが違法であると主張して、地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの、以下同様)242粂の2第1項3号に基づき、その怠る事実の違法確認を、
A上記怠る事実に係る相手方である被告組合に対し、同項4号後段に基づき、奈良県に代位して、その債権の履行請求を、
B被告柿本、同高羽、同中ロ、同池田に対し、同号後段に基づき、奈良県に代位して、不法行為に基づき、債権の管理を怠ったことによる損害の賠償を、それぞれ求めた事実である。 |
2、前提事実
(1)当事者等
被告組合は、飼料、肥料、工業用油脂、食品油脂及び塩蔵皮の製造及び販売等を目的として、中小企業団体の組織に関する法律に基づいて設立された協業組合である。
被告柿本は奈良県知事、被告池田は奈良県商工労働部長の職にあるものであり、被告高羽、同中口は過去同部長の職にあったものである。 |
(2)平成2年の貸付け
奈良県は、平成2年2月20日、被告組合に対し、中小企業高度化資金貸付制度に基づき、工場共同化(構造改善等高度化(特定))資金として、償還期日及び償還額を平成5年から平成20年まで毎年11月30日限り9411万7000円、平成21年11月30日9412万8000円とする約定で、16億円を貸し付けた(以下「貸付@」という。)。
なお、中小企業高度化資金貸付制度は、中小企業の振興を図るため、中小企業者に対し、中小企業構造の高度化に寄与する事業の用に供する土地、建物、その他施設を取得・造成・設置するのに必要な資金を貸し付けるものである。 |
(3)平成3年の貸付け
奈良県は、平成3年6月30日、被告組合に対し、中小企業高度化資金貸付制度に基づき、工場共同化(構造改善等高度化(特定))資金として、償還期日及び償還額を平成7年から平成22年まで毎年2月27日限り2352万9000円、平成23年2月27日2353万6000円とする約定で、4億円を貸し付けた(以下「貸付A」といい、貸付@と併せて「本件両債権」という。)。 |
(4)貸付条件の変更
ア 奈良県と被告組合は、貸付@につき、平成6年2月、平成6年11月の償還額を零円とし、その償還額に相当する金額を平成6年11月から最終償還期限である平成21年11月までの償還額こ分割加算して償還する旨の条件変更の合意をした。奈良県と被告組合は、その後も平成6年度(平成6年4月1日から平成7年3月31日までの期間をいう。以下、年度は同様に当該年の4月1日から翌年3月31日までの期間を指す。)から平成12年度まで毎年度、当該年度の11月の償還額を零円とし、その償還額に相当する金額を翌年度の11月から最終償還期限である平成21年11月までの償還額に分割加算して償還する旨の条件変更の合意を繰り返した。
また、奈良県と披告組合は、貸付Aにつきl平成6年度に、平成7年2月の債還額を零円とし、その償還頻に相適する金額を平成8年2月から最終償還期限である平成23年2月までの償還額に分割加算して償還する旨の条件変更の合意をし、その後、平成9年度に平成10年2月の償還額を200万円と、平成10年度に平成11年2月の償還額を100万円とする以外、平成7年度から平成12年度まで毎年度、毎年度2月の償還額を零円とする同様の条件変更の合意を繰り返した。
これらの条件変更の合意(以下「本件条件変更」という。)の結果、奈良県は、平成13年3月まで、貸付@につき元金の償還を受けたことはなく、貸付Aにつき元金300万円の償還を受けたのみであった。 |
| イ 奈良県は、平成18年4月以降、条件変更の合意を行わず、被告組合に対し、最終の本件条件変更の約定どおり、貸付@に係る債権については、同年11月に1億7777万7000円を、貸付Aに係る債権については、平成14年2月に3970万円を、それぞれ納付書を交付して請求し、本件両債権こついて平成14年7月23日付けで期限を同年8月30日と指定して、さらに、翌年分を合わせて平成15年4月15日付けで期限を同年5月31日と指定して、それぞれ督促をした。 |
3 争点
本案事件の中心的争点は、被告知事、同部長において、本件両債権の管理を違法に怠っているか、本件両債権につき管理権限を有し又ほ有していた被告柿本・同高羽、同中口、同池田において、本件両債権の管理を怠った不法行為責任があるか否かである。
原告らは、この点につき、本件条件変更は、地方自治法施行令171条の6第1項2号の「履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき」に核当せず無効であり、被告組合は当初の約定どおり弁済すべき義務があるのに、被告知事らが、同令171条の2ただし書の「特別の事情」がないにもかかわらず、被告組合に対し、その履行請求や担保権実行等をしなかった点において、その管理を怠っている違法があると主張している。 |
第2 甲事件について
1 申立ての趣旨
被告組合は、別紙第1記載の文書(この項(第2)においてこれらの文書を「本件各文書」という。)を提出せよ。
2 当事者の主張
(1)原告ら
ア 必要性
被告組合とその代表者である谷口保(以下「谷口」という。)との特別な関係を立証するために、本件各文書の取調べが必要である。
即ち、被告組合の法人税の確定申告書には、各営業年度ごとの課税標準となる所得の金額又は欠損の金額及び法人税額が記載され、それに添付された勘定科目内訳明細書には、長期借入金の借入先ごとの借入金残高、債務免除益についての免除者の氏名と免除額、支払手形、買掛金についての仕入先ごとの金額などが記載されている。それにより、被告組合の代表者である谷口が経営する谷口油脂工業所が、被告組合に対し、長期借入金の支払を求めず、債務免除をし、被告組合の営業損益にもかかわらず原材料を販売し代金の支払を猶予していることが判明する。
このことに、被告組合が破産必至の状況にありながらも現時点で企業として存続していることを併せ考えると、谷口は、被告組合を企業として存続させた上で、被告組合に対して無料又は極めて安い原価で仕入れた原材料を高額で納入し、仕上がった製品を安価で買い受けることにより、被告組合の赤字の上に個人的に資産をプールしているという、谷口と被告組合との特別な関係を推測することができる。
そして、被告知事及び被告部長は、本件各文書の内容を確認しているのであるから、以上の事実を把握することができたはずであるにもかかわらず、被告組合に対する貸付金の回収を漫然と放置し、谷口による利得を野放しにした。
かかる事実は、上記被告らの回収懈怠行為の違法性、さらには、被告柿本、同池田、同中口及び同高羽の「当該職員」(地方自治法242条の2第1項4号前段)としての行為の違法性を裏付けるものである。 |
イ 提出義務
民事訴訟法(以下「法」という。)220条4号
(2)被告組合
ア 文書の所持
被告組合は、本件各文書のうち、平成7年度以前の文書を所持していない。
イ 必要性
本件各文書は、当裁判所が平成16年2月25日した決定(平成15年(行ク)第6号文書提出命令申立事件)において必要性がないとして却下された申立てに係る文書と実質的に同じものであり、必要性ががない。
また、被告らが本件各文書によって立証しようとする谷川と被告組合との関係は、本案事件とは何ら関係のない事実であり、必要性がない。
ウ 提出義務
本件各文書は、法220条4号ハに該当する文書であり、提出義務ほない。即ち、本件各文書には営業年度ごとの所得の金額又は欠損金額という。
被告組合の企業としての経営状態に関する機密が取載されており、それが公表されれば、被告組合の経営状態が全て明らかとなり、被告組合に対する信用不安を招き、取引先が離れ、被告組合の経営は破綻に導かれるおそれが非常に高いのであり、上記経営状態に関する事項は法197条1項3号の職業の秘密こ当たり、本件各文書は法220条4号ハに該当する文書に当たる。 |
3 当裁判所の判断
(1)文書の存在・所持
一件記録によれば、被告組合が、平成8年度から平成15年度までの本件各文書を所持していることは明らかであるが、平成7年度以前の本件各文書を所持していることを認めるに足りる証拠はない。 |
(2)文書を取り調べる必要性
ア 前記当裁判所の平成16年2月25日付け決定(平成15年(行ク)第6号文書提出命令申立事件)に基づき、被告組合の平成9年度分から平成14年度分までの決算報告書(貸借対照法、損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書、製造原価報告書、損失金処理計算書)が提出されている。
イ そして、本案事件の事案の概要と照らせば、本件各文書のうち、被告組合の平成8年度分及び平成15年度分の決算報告書を取り調べる必要性があることは明らかである。
ウ また、原告らが主張する被告組合と谷口や谷口油脂工業所との特別な関係は、被告組合の経済状態の回復の見込みが低く、それを認識し得た奈良県は、直ちに、被告組合に対する本件両債権の履行を求めるべきであるとする原告らの本案事件における主張を基礎付ける一事情に当たるということができる。
したがって、原告らが主張する被告組合と谷口や谷口油脂エ業所との特別な関係が存在するか否かを判断するために、本件各文書のうち次の文書を取り調べる必要性がある。 |
(ア) 同族会社の判定に関する明細書(ただし、「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の「住所又は所在地」、「氏名又は法人名」は、谷口、谷口油脂工業所の部分に限る。)
(イ) 各勘定科目の内訳書〈明細書、明細表)(ただし、いずれも取引相手先の名称、住所については、谷口及び谷口油脂工業所の部分に限る。)
エ しかし、本件各文書のうちその余の部分は、上記アないしウの文書により、被告組合の経営実態等は相当程度明らかになるというべきであるから、取調ペの必要性を認めることはできない。
(3)文書提出義務
ア 上記(2)イの平成8年度分及び平成15年度分の決算報告書については、そもそも被告組合の貸借対照表及び損益計算書が中小企業団体の組織に関する法律5条の23が準用する中小企業等協同組合法40条3項の規定により原則として債権者に開示されることを予定していることも考慮すると、同書面に記載されている事項が法197条1項3号の予定する保護に値する秘密に当たるということができない。
イ 上記アのとおり、決算報告書自体は法197条1項3号の予定する保護に値する秘密といえないものである。そして、本件各文書のうち上記(2)ウで取調ペの必要性を認める部分に限定して考えれば、その部分が公表されれば、被告組合に対する借用不安を招き取引先が離れる等の被告組合の事業に操刻な影響を与え以後その遂行が困難になるとまでいうことはできない、したがって、同部分に記載されている事項が、同号にいう「職業の秘密」には当たらないというべきである。
ウ したがって、本件各文書のうち、上記(2)イ、ウにおいて必要性を認める部分は、法220条4号ハに該当する文書に当たらない。被告組合には同号に基づき提出義務がある。
(4)よって、甲事件の申立ては.別紙第2の文書の提出を求める部分に限り、理由があり、その余の申立ては理由がない。 |
第3 乙事件
1 申立ての趣旨
被告知事は、別紙第3記載の文書(この項(第3)において、これらの文書を「本件各文書」といい、その個々
の文書についてはその番号により例えば「文書13(1)のようにいう。)を提出せよ。
2 当事者の主張
(1)原告ら
ア 必要性
文書1ないし11については、貸付け時既に貸付金の償還が見込めない状況にあったにもかかわらず貸付けが実施された事実を立証し、それにより、奈良県がその後貸付金の償還につき本件条件変更を繰り返し現在まで債権を回収しなかったことが安易であったという主要事実を証明する必要がある。
文書12及び13については、被告組合がした本件条件変更申請に対し、奈良県が被告組合の経営診断において貸付金の回収が困難な状況にあることを看過したことを立証し、地方自治法施行令171条の6第1項2号の要件を満たしていないにもかかわらず貸付金の償還に関する本件条件変更申請に応じて貸付金回収を懈怠したという主要事実を証明する必要がある。 |
イ 提出義務
(ア)法220条2号
即ち、法220条2号につき、挙証者には、訴訟相当の場合には、訴訟追行権者だけでなく利益帰属主体たる奈良県も含まれるところ、奈良県と被告知事とは機関委任契約の関係にあり、奈良県は同契約に基づき奈良県の機関である被告知事に対して上記文書の引渡し、閲覧を求めることができる上、住民訴訟を提起し奈良県に代位して訴訟追行をしている原告らも、奈良県に準ずる地位を取得して奈良県と同じ立場で被告知事に対して文書の引渡し、閲覧を求めることができるというべきである。 |
(イ)法220条4号
被告知事は、文書12・13(1)及び(2)は、法220条4号ロ、ハに当たる旨主張するが、その主張は理由がない。
即ち、被告組合が貸付金をほとんど償還していないことは奈良県議会でも問題とされ奈良県民にとって広く知られた事実であり、その経営状況が明らかになったとしても新たな信用不安を生じさせる余地など存在しない、また、被告組合は、奈良県の被告組合に対する貸付けが住民訴訟の対象となる奈良県の財務会計行為に当たることを容易に認織できたのであり、後の住民訴訟において上記文書の提出を命じられることは、貸付けを受けた当初から十分に予測可能であったから、奈良県と被告組合との信頼関係を毀損するものではない、さらに、他組合についても、同様に、上記文書の提出を命じられることは十分予測可能であったから、奈良県との信頼関係を毀損するものではない、そして、上記文書が提出され、地方公共団体からの貸付けについて適切なチェックが行われることが定着すれば、貸付けを行う地方公共団体と借主である被告組合その他の組合との関係に適度な緊張関係が生まれ適切な貸付け、返済が行われることになり、他の案件への融資を行う資金の枠も確保され、貸付制度全般において効率的で健全な運営が可能になる、そもそも「公共の利益」「公務の遂行」(法220条4号ロ)とは奈良県が披告組合に対する貸付金がどの程度回収できるのかということに尽きるのであり、被告知事がいう抽象的な事情はこれに該当しない、したがって、法220条4号ロに該当する文書には当たらない、また、被告知事がいう秘密は、それが公開されると当該職業に深刻な影響を与え、以後の職業の維持・遂行が不可能又は困難になるようなものであるということはできず、 「職業の秘密」(法197条1項3号)には該当しない、また、法197条1項3号の援用権者は被雇用者・補助者・請負人等として他人の技術・職業の秘密を守らなければならない立場にある場合又は他人の技術・職衆によって自らの生計を維持し若しくはこれに準ずる重要な経済的利害を他人の技術・職業について有する場合に限定され、被告知事は援用権者に該当しない、したがって、法220条4号ハに該当する文書には当たらない。 |
(2)被告知事
ア 文書の所持
文書12のうち、平成9年及び平成10年以外の年次の文書は所持していない。
イ 必要性
文書1ないし11については、原告らが立証することができると主張する事実は、貸付金を回収するのが困難で貸付金の償還に関する条件の変更はやむを得なかったことを推認させるものではあっても、奈良県が回収の労力を怠っていることを推認させるものではない、そもそも、債権管理行為の適法性を判断するためには、貸付行為の状況ではなく債権管埋行為それ自体の状況を見る必要があり、原告らが立証することができると主張する貸付行為の瑕疵と、主要事実である債権管理行為の適法性とは,必ずしも結びつかないのであり、文書を取り調べる必要性はない。
ウ 提出義務
(ア)原告らの法220条2号に当たるとの主張は争う。
住民訴訟は、実質的にみれば、権利の帰属主体たる地方公共団体と同じ立場においてではなく、住民として固有の立場において、職員等に対し損害の填補を要求することが訴訟の中心的自的となっている住民訴訟の性質、法220条2号の適用について、同条4号ロの除外規定との整合性を図るなどして限定的に解すべきであること等に照らせば、原告らの主張は理由がない。 |
(イ)文書12、13(1)及び(2)は、法220条4号ロ.ハに該当する文書であり、提出義務はない。
即ち、公務員である被告知事が職業上知り得た被告組合の企業秘密に該当する被告組合の経営状況の記載があり、被告知事はその秘密を守る義務を負っているところ(地方公務員法34条1項,60条2号)、上記文書を提
出すると,被告組合の取引先等関係者の被告組合に対する信用不安を招き、ひいては被告組合の存立を脅かすことになりかねず、一方では,奈良県と被告組合との信頼関係の毀損につながり、これが前例となれば、既に
高度化事業を実施し資金の償還途上である他組合の信頼を失い、県の円滑かつ公正な事業執行に著しい支障を生じ、ひいては、中小企業者が共同して事業に取り組むことの意欲を減退させ、さらには、県及び国の中小企
業施策そのものを衰退させる危険につながるのであり、他方では、その組合に対する高度化事巣を実施したこ
とにより解決されていた周辺地域における悪臭公審が再び問題となるなど、得られていた成果を障害すること
になるのであり、法220条4号ロに該当する文書に当たる。
さらに、上記文書には、同様に知り得た企業秘密に該当する被告組合の原料の仕入価格や仕入数,販売価格
や販売数などの記載があり、これが公開されると、被告組合の競争力が低下するおそれが強く、ひいてはその経営状況が悪化して倒産することにもなりかねないのであり、法197条1項3号の「職業の秘密」に該当し、法197条1項3号の援用権者には秘密の主体たる第三者との関係で法令上又は契約上著しくは社会通念上その者と
の間で黙秘義務を負う者も含まれるところ、上記法220条4号ロに関する事情に照らすと、被告知事は被告組合に対して上記秘密を外部に公開しないという守秘ないし黙秘の義務を負い、披告知事はかかる黙秘義務を免除されていないものであり、法220条4号ハに該当する文書に当たる。 |
(ウ)文書13(3)については、中小企業総合事業団の了解なしには提出に応じられない。
3 当裁判所の判断
(1)文書の存在・所持
被告知事も文書12のうち、中小企業高度化事業運営状況報告書(ただし、平成9年度及び平成10年度に提出されたものに限る。),法人税確定申告書(ただし、平成9年度に提出された平成8年度分及び平成10年度に提出された平成9年度分のものに限る。)を所持していることが認められるが、被告知事がその他の文書を所持していることを認めるに足りる証拠はない。その余の本件各文書については、被告知事がこれを所持していることが認められる。
(2)文書を取り調べる必要性
ア 文書1ないし11
本案事件の事案の概要に照らせば、本案事件の審理のために、これらの文書を取り調べる必要性はあるということができる。
イ 文書12
文書12のうち、中小企業高度化事業運営状況報告書は、本案事件の事実の概要に照らせば、本案事件の審理のために、これらの文書を取り調ペる必要性はあるということができる。
文書12のうち、平成8年度分と平成9年度分の注入税確定申告事は、そのうち、取調ペの必要性がある部分は、前記当裁判所の平成16年2月25日付け決定(平成15年(行ク)第6号文書提出命令申立事件)に基づき当裁判所に既に提出済みであるか、本件甲事件についての文書提出命令により被告組合からその提出が予定されているから、登複して提出させる必要性は存しない。 |
ウ 文書13(1)
本案事件の事案の概要に照らせば、翻案事件の審理のために、これらの文書を取り調べる必要性があるということができる。
エ 文書13(2)
(ア)平成8年度から平成11年度までの被告組合の法人税確定申告書関係の書類は、上記イと同様の理由により取り調べる必要性は存しない。
(イ)平成4年度から平成7年度までの決算報告書又は法人税確定申告書(いずれも添付書類を含む。)については、本件甲事件で述べたとおり、次の部分を取り調べる必要性があるが、その余の部分は取り調べる必要性はない。
a 決算報告書(貸借対照飴,損益計算書,販売費及び一般管理費内訳書,製造原価報告書,損失金処理計算書)
b 同族会社の判定に関する明細書(ただし、「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の「住所又は所
在地」,「氏名又は法人名」は、谷口、谷口油脂工業所の部分に限る。)
c 各勘定科目の内訳等(明細書〉(ただし、いずれも取引額手先の名称、住所については、谷口及び谷口油脂工業所の部分に限る。)
(ウ)その余の文書13(2)の部分は、本案事件の事案の概要に照らせば、本案事件の審理のために、取り調べる必要性があるということができる。
オ 文書13(3)
本案事件の事案の概要に照らせば、本案事件の審理のために、取り調べる必要性があるということができる。
(3)文書提出義務
ア 文書1ないし11
被告知事には、法220条4号により提出義務がある(被告知事において文書提出義務について争っていない。) |
イ 文書12のうち必要性のある中小企業高度化事業運営状況報告書
この文書こは、法220条4号のロ又はハに該当する事項の記載はなく、被告知事には、同号に基づき、その提出義務がある。
ウ 文書13(1)
この文書には、法220条4号のロ又はハに該当する事項の記載はなく、被告知事こは、同号に基づき、その提出義務がある。
エ 文書13(2)のうち必要性のある部分
この文書部分には、被告組合の原料の仕入価格・仕入単価・仕入数・売上高等が記載されているが、この記載は、各原料ごとの仕入価格、仕入単価や各製品ごとの単価等にすぎず、取引先毎の仕入単価や販売単価の記載はない上、上記文書のうち最後に作成された平成12年10月から現在まで4年以上も経過しており、その内容は最新のものでないことをも考慮すると、この文書部分は、提出されたとしても、被告組合の競争力が低下する具体的なおそれがあるとは考え難く、被告組合の法197条1項3号所定の職業に関する秘密が記載されていると認めるのは難しい。
また、この文書部分には、被告組合の経営状況の記載があるが、本件甲事件で述べたとおり、被告組合の貸借対照表及び損益計算書は、中小企集団体の組織に関する法律6条の23が準用する中小企業等共同組合法40条3項の規定により原則として債権者に例示されることを予定されているところ、前記裁判所の平成16年2月25日付け決定(平成15年(行ク)第6号文書提出命令申立事件)に基づき、被告組合の平成9年度分から平成14年度分までの決算報告書(貸借対照法、損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書、製造原価報告書、損失金処理計算書)が提出されているのであり、被告組合の経営状況の大要は既に明らかになっていること、上記のとおりこの文書部分の内容は最新のものでないことをも考慮すると、この文書部分は、捻出されたとしてもこのことが原因で、被告組合の取引先等関係者の被告組合に対する信用不安を招き、ひいては被告組合の存立を脅かす事態になるとか、奈良県と被告組合との信頼関係の毀損につながるとは考えられず、被告組合の法197条1項3号所定の職業に関する秘密が記載されていると認めるのは難しい。
上記のとおり、この文書部分をもって、被告組合の職業上の秘密が記載されているとすることはできず、これを前提とする被告知事の法220条4号ロ・ハにより提出義務を負わないとする主張は採用できない。
以上のとおりであり、この文書部分については.被告知事は,法220条4号に基づき提出義務を負っているといわなければならない。 |
オ 文書13(3)
被告知事は、この文書については、中小企業総合事業団の了解なしには提出に応じられない旨主張するが、その主張自体法220条4号イないしホのいずれにも該当しない。
被告知事には、法220条4号に基づき、この文書を提出する義務がある。
(4)よって、乙事件の申立ては、別紙第4の文書の提出を求める部分に限り、理由があり、その余の申立ては理由がない。
第4 よって、主文のとおり決定する。
平成17年3月23日
奈良地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官 東畑良雄
裁判官 野口卓志
裁判官 高木健司
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別紙第1 (甲事件について原告らが提出を求める文書)
被告組合が昭和63年以降毎年作成し奈良税務署長に提出した法人税の確定申告書及び同申告書添付書類(勘定科目内訳明細書)の各控え。 |
別紙第2 (甲事件について当裁判所が提出を命ずる文書)
1 被告組合が奈良税務署長に提出した平成8年度(平成8年4月1日から平成9年3月31日までの期間をいう。以下、年度は同様に当該年の4月1日から翌年3月31日までの期間を指す。)分及び平成15年度分の法人税確定申告書(添付書類を含む。)の各控えのうち、決算報告書(貸借対照法,損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書(明細書),製造原価報告書,損失金処理計算等)
2 被告組合が、平成8年度分から平成16年度分まで毎年作成し奈良税務署長に提出した法人税の確度申告書(添付書類を含む。)の各控えのうち、次の文書
(1)同族会社の判定に関する明細書(ただし「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の「住所又は所在地」,「氏名又は法人名」は、谷口保、谷口油脂工業所の部分に限る。)
(2)各勘定科目の内訳書(明細書,明細表)(ただし、いずれも取引相手先の名称、住所については、谷口保及び谷口油脂工業所の部分に限る。) |
別紙第3 (乙事件について原告らが提出を求める文書)
1 奈良県が平成2年2月20日被告組合に対して行った貸付け(以下「貸付@」という。に関し、被告組合が作成し奈良県に対して提出した以下の文書
(1)「中小企業高度化資金等貸付申請書」
(2)「貸付対象事業費変更届」
(3)「工場共同化事業の実施計画について」
(4)「昭和63年度〜構改特定工場共同化事業実施計画書」
(5)「誓約書」
2 貸付@に関し、奈良県が被告組合に対して交付した以下の文書の各控え。
(1)「貸付内定通知書」
(2)「貸付決定通知書」
(3) 前記1(3)に応答する「組織変更許可書」
3 貸付@に関し、奈良県が中小企業総合事業団に対して提出した以下の文書の各控え。
(1)「借入予備申請書」
(2)「借入申請書」
(3)「借入申請書変更届」
(4)「事兼業施計画について」
4 貸付@に関し、中小企業総合事業団が奈良県に対して交付した以下の文書
(1)「貸付内定通知書」
(2)「貸付決定変更通知書」
5 貸付@に関し、奈良県が作成し保管する以下の文書。
(1)「ヤマトハイミール食品(協)工場共同化事業診断関係書類」
(2)「使途明細書(案)」
6 奈良県が平成3年5月30日被告組合に対して行った貸付け(以下「貸付A」という。)に関し、被告組合が作成し奈良県に対して提出した以下の文書。 |
(1) 「中小企業高度化資金等貸付申請書」
(2) 「平成2年度〜構改特定工場共同化事業実施計画書」
(3) 「誓約書」 |
7 貸付Aに関し、奈良県が被告組合に対して交付した以下の文書の各控え。
(1) 「貸付内定通知書」
(2) 「貸付決定通知書」
8 貸付Aに関し、奈良県が中小企業総合事業団に対して提出した以下の文書の各控え。
(1) 「借入予備申請書」
(2) 「借入申請書」
9 貸付Aに関し、中小企業総合事業団が奈良県に対して交付した以下の文書。
(1) 「貸付内定通知書」
lO 貸付Aに関し、奈良県が作成し保管する以下の文書。
(1) 「ヤマトハイミール食品(協)工場共同化事業診断関係書類」
(2) 「使途明細書(案)」
11 被告組合が、貸付@及びAによる貸付金の交付を受けて対象施設を設置した際に作成し、奈良県に対して提出した「高度貸金貸付対象施設設置完了書」及び設置の完了した対象施設を検査した結果奈良県が作成し保管する「高度貸金貸付対象施設設置完了検査書」。
12 被告組合が毎年1回作成し、奈良県に提出した「施設利用状況報告書」並びにこれに添付されている直近の事業報告書、決算書(ただし、平成9年度ないし平成14年度分を除く。)及び確定申告書。
13 貸付@及びAに関し、奈良県と披告組合との間で、平成6年から平成12年まで毎年行われた貸付条件の変更に関する以下の文書。
(1)被告組合が毎年作成し、奈良県に対して提出した貸付条件変更申請書
(2)奈良県が、上記(1)の貸付条件変更申請の適否を診断した結果作成した経営診断書。
(3)上記(2)の経営診断を受けて奈良県が作成した「中小企業高度化資金の貸付条件変更について」と題する文書に対し、中小企業総合事業団が承認した結果を記載した承認書 |
別紙第4(乙事件について当裁判所が提出を命ずる文書)
1 別紙第3の1ないし11記載の各文書
2 別紙第3の12記載の文書のうち、中小企業高度化事業運営状況報告書
(ただし、平成9年度及び平成10年度に提出されたもの)
3 別紙第3の13(1)記載の文書
4 別紙第3の13(2)記載の文書のうち、次の事項を除く部分
(1)平成8年度から平成11年度までの被告組合の法人税確定申告書関係の文書
(2)平成4年度から平成7年度までの決算報告書又は法人税確定申告書(いずれも添付書類を含む。)中、次の事項(提出を命ずる部分)以外の部分。
ア 決算報告書(貸借対照法,損益計算書、販売費及び一般管理費内訳書、製造原価報告書、損失金処理計算等)
イ 同族会社の判定に関する明細書(ただし「判定基準となる株主(社員)及び同族関係者」の「住所又は所在地」,「氏名又は法人名」は、谷口保、谷口油脂工業所の部分に限る。)
ウ 各勘定科目の内訳書(明細書,明細表)(ただし、いずれも取引相手先の名称、住所については、谷口保及び谷口油脂工業所の部分に限る。)
別紙第3の13(3)記載の文書 |
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これは正本である.
平成17年3月23日
奈良地方裁判所民事部
裁判所書記官 平 井 信 行
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